M&A直前で気が付いた大切な価値観の話

私の中で大きな気づきがあり大切だと思えた出来事の備忘録

内部留保と利益の2年分で会社の売却の話があって大筋合意になっていた。

仲の良い人たちは知っている人もいるかもだけど、とんでもない規模感になった。

伝説になったのではないかという規模感。

このトップクラスの状態で引退するというスマートさ

落ち始めてからでは見せられない美しさ

IRとか誰かに発見されざわつく界隈を眺めながら飲む酒

ライバルたちには沢北の言葉を最後に言って去りたかった「

日本一のプレイヤーになりたいのか？なるがいいさ。オレのいない日本でな

」

『スラムダンク』 第29巻

結論からいうとお断りさせていただいた。

信頼できる企業様で誠意もあり譲渡条件も納得できるものだったので、企業様には大きな謝罪の気持ちと、もう１つは大事なものに気がつかせてくれた感謝の気持ちしかない。

googleのアップデートや、同ジャンルのパクリサイト、被せサイトの出現に、正直seoには嫌気がさしていたし、過去にすごいと言われていた人がパクリサイトの運営者なのを見つけた時もこの業界に吐き気がした。

どこか勝てる前提で「もうやめたい」バイアウトしたいという気持ちが大きくなり

今回、ご縁をいただいた企業様に話をさせていただき、話が進んでいった、その時はまだ絵空事だったと思う。

失礼ながら企業様も弊社の内部留保と利益の2年分は流石に融資がおりないとどこかで感じていたのかもしれない。

企業様の誠意ある行動のおかげで、大筋売却の方向に固まってきた、テーブルにそれが乗ってきた時に色々な感情が生まれてきた

実際に合意直前である現実味を帯びてきたからこそ生まれた感情。

たぶん、人に相談されたら売却をすすめるくらいの好条件。

ChatgGPT、SERPs表示の変化、不安のなかの絶妙なタイミング

それでも、直前で売却をお断りさせてもらった。周りからするとなんてもったいないと思われるだろう。

正直、売っても売らなくても生活には困らない資産はある。

なので、金額面は判断材料からは除いてみた

その時に大切と思ったのは、今ある会社とか、今いる従業員、今協力してくれる協業会社。

いま当たり前にあるものの大切さ、失いたくない居場所というものに気がついた。

バイアウトして、「みんなお疲れっ」ってのも美しいと思ったけど、それより居場所をとった。

うちの会社は本当に人間的に素晴らしい人ばかりで、この従業員とまだ一緒に戦いたいという気持ち。その子達にリスペクトしてもらえる私の居場所。

俺の会社だ、俺の従業員だ、俺が作ったんだ、他の誰にも触られたくないという独占欲というものに近いかもしれない。

そしてまだ、もっと高みが見えているいま、この子たちがどこまでいけるのかその可能性を最後まで見たい気持ちもある。

「私があなたの立場なら売却すると思うけど一緒に戦えなくなるのは寂しい」といってくれる協業さんや、同業の集まりでもらえるリスペクト。

過去の人になりたくない。現役だから、同じように戦っているもの同士だから存在するリスペクト。

世の中、承認欲求や他人の目を気にすることを悪とする風習がある。それに踊らされることは危険だけど、個人的には大切なものだと思う。

自分がどういうふうに生きていたいか。

ずっとかこつけて生きていきたい。

その中で、最終的に私独特のものしては戦いの中からこそ自分を認められる戦闘民族であり、現役だからこそあるかっこよさ。

売却で得ることができる資産と、冒頭で記載した美学やスマートなかっこよさより

泥臭い戦うかっこよさを大切にした。

色々な思考があって、たぶんどちらをとっても正解で、困ることはないところまできているからこそ、私が感じるかっこよさと、いまある居場所を大切にしたい。

そこにはテーブルに乗って箸をつける直前、現実味が帯びたからこそ気がつけた。

企業様には大変申し訳なく、どれだけ謝罪しても足りないくらいで、大きな貸しをつくってしまった。そして、いまある居場所の大切さに気づかせてもらったことは大きな大きな感謝しかない。

今後もこの企業様との関係性は大切にしていきたいし、もし健康面や何かで会社を他の誰かに任せないといけなくなった時は、こちらの企業様にお願いしたいと考えている。

この選択が正解かわからないけど、私は正解にするし、ご迷惑かけた企業様にもう１ランク上に輝く弊社を見せられたらと思う。

最後にもうこれ私の考えであり私の価値観だけの話なのでバイアウトがカッコよくないとかそういう次元の話ではないのであしからず。（むしろスマートでかっこいいと思ってる）

中田ヒデの方がスマートでかっこいいと思いながら私はカズのようにいきますよって話

あなたが社長だからここまでついてきたという従業員の言葉

あなただからここまで協力しているという協業さんの言葉

これらを大切にして最後まで走り続けようと思う。